僕とゆかりと青空と

2話 甘い日々

俺とゆかりは付き合うことになった。
同級生とはいえ、憧れで高嶺の花でもあった女性が、俺の彼女になってくれる。
舞い上がるような気分のまま、毎日が流れていく。

「どうしたの?」

ゆかりが声をかけてくる。

「え?あ、ゆかり。ごめんボーっとしてた。」

俺はとっさに応じた。

「このコマどうしようか?」

履修科目の登録期間中で授業を一緒に受けていたのを忘れてた。
思い出し笑いと妄想で全然授業聞いていないから覚えてない!!

「他に面白そうな科目、あったっけ?」

「なんだか、ないみたい。消去法で受講かな?」

「1年生から好きな科目ばかりというわけにもいかないよね。」

「そうだよね。」

こんなことを繰り返しながら、履修科目がほぼ決まった。
木曜日以外はゆかりと一緒に受ける科目がある。そして、行きと帰りは極力一緒に行動する。

「今日はどっちの家にしようか?」

「じゃあ…、耀くんの部屋で良い?」

「いいよ。行こうか。」

俺とゆかりはここ2週間ほど、こんな生活をしている。
少なくとも大学生活の4年間はこうしていられるといいな、と思う。心から。

家に着いた。
すぐに母の声が飛び込んできた。

「おかえり!あ、ゆかりちゃんも一緒?こんにちは。」

「こんにちは。今日もお邪魔します。」

「耀一郎、私は明日からお父さんのところに行くって覚えてる?」

「え?ああ、そういえば。」

「また2~3週間いないからね。ゆかりちゃんに迷惑かけないできちんと自立した生活するのよ!?」

「わかってるよ!!」

「迷惑だなんて。大学ではちゃんと助けてもらってますよ。」

「え?意外。やればできるのね。できればそのやる気を親孝行にも向けてもらいたいけどね。」

「うるさいなあ…。」

そんな言葉の掛け合いを経て、自室に着く。

「耀くん…。」

扉を閉めるなり、ゆかりが抱きついてきた。
俺もゆかりの腰に手を回し、唇を重ねる。

「ん…。」

そう思っていたら、足音と気配がした。

「ゆかり、ごめん!!ちょっと待って!!」

「え!?」

俺はとっさにゆかりと離れた。…と、すぐにノックと同時に扉が開く。
母がお茶と羊羹を持ってきた。
ノックの後に一声かけてから扉を開けるのが常識だと思うのだが…。

「お茶とおやつを持ってきたからゆっくりしていってね。ゆかりちゃん。」
「耀一郎は片付けまでよろしくね。」

「はいはい。」

幼馴染で近所住まいで、おまけに大学まで一緒だから、ゆかりと俺の部屋を交互に遊びに行くのは不思議でないだろう。ただ、お互い初めての相手で、つい最近付き合い始めたということまではさすがにどこかのタイミングで伝えなければならないと思う。
それこそ、行為の最中に扉開けられて初めて付き合っていることを知られました!!なんてことは避けなければならない。

母が部屋を出ていったところで、俺とゆかりはホッと胸をなでおろして、次の瞬間笑い始める。

「ごめんね、ゆかり。これがあるから気が抜けないんだ。」

「ふふ。キスしているところをドア開けられちゃったら、気まずいもんね。」

「ははは。そういうこと。」

改めて、軽くキスをして、本題に入る。
…といっても、まだそちらではなく、履修科目の確定。
提出日も明日なので、マークシートの記入作業だ。

会話もあまりなく、互いに黙々と作業して15分ほど…。

「こんなところか。」

書き終わった、…と思う。

「そうね。一般教養を全部一緒のコマに登録できたのは良かったね。」

「1年生ならでは、だね。」

「さてと、もう一つの本題に入りましょうか?」

「うーん、あと15分ほど待って。」

「え?どうして?」

「それは15分後にわかるから。」

その間に俺とゆかりは雑談モード。

そういえば、あの魔法使いもどきの薬の話をしておこう。
あの日の1週間後、律儀に俺はレポートを書いて、学生会館に向かった。
魔法使いもどきはレポートとうまい棒を受け取ると、何も言わずに追い払う仕草をした。
あの薬、後遺症や副作用とかないのだろうか?もし、ゆかりになにかあったらどうしよう?
今のところ、何も症状はでていないけど、少し心配だ。

…などという話はゆかりにできるはずもなく…。

そうこうしている間に玄関から声が聞こえてきた。

「耀一郎、私買い物に出かけてくるから!」

そう聞こえると、扉の閉まる音と、鍵をかける音が聞こえてきた。

「そういうことだったのね。」

そういうと、ゆかりは俺の首に手を回して唇を重ねてきた。
ゆかりはこの仕草にすごく色気があって、この雰囲気だけで俺は興奮してしまう。

「邪魔者はいなくなったから、ここからは本当の本題…。」

キスをしつづけながら、お互いの服を脱がせていく。
お互いの身体を触り合いながら、その感触を確かめあっている。
AVはそれなりの本数見ているので、実際の経験はともかく見様見真似の知識は多い。

そうこうしている間に、お互いすべての服を脱がしてしまった。
ゆかりの裸体はいつ見ても綺麗だ。

俺は左手でゆかりの胸を揉みながら、右手を秘部へとなぞらせた。
ゆかりは身を捩る。すでに溢れそうなくらい濡れている。

「耀くん…、もう…、大丈夫…。」

「わかった。俺もそろそろ我慢の限界。」

俺はゴムを付けて、ゆかりにあてがう。
そういえば、ゴム付けるのがうまくなった気がする。
そんなことを考えながら、ゆかりにゆっくり挿入する。

「あ…あぁ…耀くん!!」

「ゆかり…動くよ!」

ゆかりに挿入するときの背筋を走る言いようのない快感は、初めての時だけじゃなかった。
美人の幼馴染を俺は抱いて、彼女がそれを受け入れてくれている。
そんなことを思いながら、俺は腰を振っていた。

「耀くん…もっと…もっと突いていいよ…ん…」

「ゆかり…痛かったら言ってね…」

「耀くん…ああぁん…ん…んぁあ…」

ゆかりが口ごもる。あまり声が大きいと、恥ずかしいのだろう。
俺も、そんなゆかりに目で「わかった」と伝えながら腰を振る。

初めての時に比べて、持続するようになった。

ゆかりも腰の使い方が上手になった…なんて口に出したら怒られそうだが。

「ゆかり!愛してるよ!!」

「私も!耀くん!!」

言うなり、俺の下半身は限界を迎えた。

俺の下半身がかなり激しく脈打っている。すごい消耗感もあるけど、達成感もある。
挿入時間は20分くらい。終わって身支度を整えたところで、母が帰ってきた。

「結構、時間ギリギリなんだね。」

「もうちょっと、持続したら危ないな…。」

「もう…。そうじゃなくて…。」

日没したので、俺はゆかりを家まで送って行って、再び自宅に戻る。

夕食摂って、メッセージ交換するのも日課になっていた。
でも、今回はちょっと話が違っていた。

ゆかりが、俺に頼み事してきたのだ。

ゆかりから『会って話を聞いてあげてほしい人がいる』と。
同じ1年生でサークルで一緒になった相手だそうだ。
そういえば、ゆかりは歴史研究会に顔を出しているとか言っていたな、と。

『いいけど、俺で役に立てるのかな?』

『大丈夫!耀くんなら力になれると思うから。』

なぜか、ゆかりの言葉には確信している何かを感じた。
ただ、その中身がわからないけど、ゆかりが俺に危険なことを振ってくるのは考えづらい。

…ますます何の話を誰から聞くのかさっぱりわからない。
とりあえず、明日の3限の時間帯にキャンパスの前の遊歩道のベンチで待ち合わせとなった。