僕とゆかりと青空と

序話 僕とゆかり

僕とゆかりは小学校まで同級生だった。いわゆる幼なじみというやつだ。
家が近かったため、両親も含め、文字通り家族ぐるみの付き合いという関係であり…。
だから幼稚園に通っているころから、一緒にいることが多かった。

幼稚園では、ゆかりがしっかり者だったことにすっかり甘えてしまい、いろいろ助けられた。
先生にも、ゆかり=しっかり者、僕=うっかり者と認識され、嫌な対比ができていた。
小学校に入っても、その関係はあまり変わらず、僕は成績がトップクラスなわけでも運動神経が抜群なわけでもない、ごく平凡な小学生として過ごした…つもりだ。

仲は良かったけど、いつも僕はゆかりに頼りっきりだった。
そんなゆかりを好きになっていたと自覚したのは小学校低学年の頃だ。

運動会の競技で、手をつないだ時のあのすごくドキドキした感覚。
それをはっきりと自覚した瞬間、力一杯ゆかりの手を握ったのを覚えている。

でも、中学校からゆかりは私立の進学校である女子校に入学し、離れ離れになった。
住んでいる場所はすぐ近くのはずなのに、不思議と会うことはなかった。

中学生になってから、毎日がすごくつまらなくなったのを覚えている。
人並みに運動して、人並みに勉強もしたけど、そこに生きがいとか楽しさはなかった。

そんな僕は中学時代こそ、ふてくされた生活を謳歌したが、高校に入ってからはそれなりに真面目に勉強するようになった。
理由?そんなものは語りたくないし、どうでもいいので…、とくかくほっといてくれ。

…話を戻して、そんなゆかりを思い出したのは、偶然彼女"らしき"女性を見つけたのが始まりだ。
髪は長く、やや細身で、一緒にいた女友達と思われる人とあの時のような優しい笑顔を振りまいていた。
それも、見かけたのは、僕の通う大学のキャンパス内だ。

お世辞にも褒められたものではない感情が、僕の中を流れた。

僕は自宅の最寄駅で待ってみることにした。



…と、話を終わらせる前に、伝えるのを忘れていたことがある。

僕の名は、秋月 耀一郎。
身長170㎝、やや細身。アレのサイズは人並みだと思ているけど、ちょっと大きめ?
とある大学の文学部心理学科に入学して、大学生の身。

そしてお目当ての彼女は、春田 ゆかり
身長160㎝弱、細身。
外見は王道を行く、正統派美人。
性格もつつましやかでありながら、社交性は忘れないという、人気者の要素を兼ね備えている。

つづく